武術と健康法

武術の目的とは、「負けないこと」を学び自得するところにあります。

 負けないとは、①敵に、②病気に、③年齢に負けないことを言います。
①は武術的側面、②に対しては基礎鍛錬と固め技で、③に対しては固め技や体操等でそれぞれ対応し、対策としています。誰にも負けない技術を身につけても病気や年齢に負けてしまっては意味がありません。したがって、武術の究極の目標は健康法にあると言えます。基礎鍛錬は何となくわかるけど、固め技が健康法?と思いますよね。
 合気道技法による押さえ技に続き固め技で相手を制するのですが、固め技の「呼吸法とストレッチ機能」を内包する伸展・圧縮・捻転・圧迫などの動作により血行促進が図られるため健康法となるのです。体操等とは、体の各部の屈伸や捻転、叩打法及び摩擦法を呼吸法と組み合わせて行うもので、体を柔らかくし、いろいろな刺激で血行の改善を図り、内臓を活性化させることを目的としています。

 なお、②や③だけを目的としたものとしては、自彊術、導引術、真向法などが知られています。(拙著「合気道の秘密」(私家版)コラム集から転載)